選挙報道における「公平性」とは何か

 広島出身の石丸氏は、県立高校から京都大学経済学部へ進学。卒業後はメガバンクの銀行員としてキャリアを積み、2020年に地元の安芸高田市長に初当選。今回は市長を退任して都知事選出馬を決めた。

 選挙報道では、政党などの組織的な支持基盤や候補者の知名度などからマスメディアが一定の得票数を予想しつつ、各候補者の扱いの大きさを決める。選挙報道には公平性が求められるが、全ての候補者を横一列で報じることが必ずしも有益な情報の提供になるとは限らない。

 実際、今回の都知事選では上位3人を除く53人は得票が有効投票数の1割未満となり、供託金(1人当たり300万円)没収の対象となっている。NHK放送文化研究所の記事によれば、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が2016年の参議院選挙と東京都知事選挙をめぐるテレビ放送について通知した「意見書」では、放送の「公平性」とは、候補者に同じ時間を与えるような「量的公平」ではなく、各局が自主的に基準を判断する「質的公平」だと言及している。

「政治屋の一掃」を掲げて選挙戦に挑んだ(写真:共同通信社)

 現職で自民、公明両党、地域政党の都民ファーストの会などの支援を受けた小池氏、立憲民主党と共産党、社民党の支援を受けた蓮舫氏には、当初から一定の得票が見込めた。一方、石丸氏は市長としての実績があったものの、政党の支援を受けていなかった。そのため、当初の扱いに差が出たというのが、メディア側の言い分になるだろう。

 他方、メディアが今回の選挙戦で盛んに報じた争点の一つが、「無党派層」の取り込みだった。