意外だった4種類のチームの成績

 まず確認されたのは、「AIを使ったチームは、使わないチームよりも良い結果(成果物の品質が高い、新しいアイデアが多い等)が出る」という点だ。これは予想通りと言えるだろう。

 ただ、②の「チーム全体でAI利用」するというケースと、③の「メンバー個々にAI利用」するというケースの間で、作業の結果に大きな違いはなかった。メンバーが自分専用のAIを使えた方が良さそうな気もするが、そうはならなかったというわけだ。

 この傾向は、④のAI使用を許可した個人と比べた場合に顕著になる。このケースでは、AI使用を認めなかったチームと同じくらいの結果は出せたものの、AIを使用できたチームほどの成果にはならなかったそうだ。

 またAIを使用しなかったチームと同等の成果を出せた場合も、作業にかかった時間については、人間だけのチームと比べて短くなることはなかったそうである。

 つまり成果で比べた場合、4種類のチームの成績は、②チーム全体でAI利用=③メンバー個々にAI利用>①AIなしのチーム=④AIとのペア──という結果になった。AIを利用すれば個人でもチーム並みの能力が発揮できるものの、それよりも望ましいのは、チームとしてAIを活用する形態ということになる。

 研究者らは実験結果から、チーム内で一人か二人が集中してAIを使う方が良い結果が出ると結論付け、この発見が「AIが支援するチームにとって、AIの関与の広さよりも、むしろ深さがより重要であることを示す最初の証拠となる」と述べている。

 要はチーム全体でAIを戦略的に活用することで、個々人がばらばらにAIを使う以上の成果が得られるというわけだ。

最新の研究に寄れば、チームの全員が生成AIを使えば生産性が上がるというわけではないという(写真:Summit Art Creations/shutterstock)最新の研究によれば、チームの全員が生成AIを使えば生産性が上がるというわけではないという(写真:Summit Art Creations/shutterstock)