ウクライナがロシア石油施設に相次ぐドローン攻撃

 西側諸国は、ロシアが制裁回避に利用している船舶(影の船団)への制裁に踏み切ったからだ。欧州連合(EU)は25日、ロシアのために原油を運搬している船舶17隻に対し、域内の港湾へのアクセスを禁止するなどの措置を執行した。英国も同様の制裁を既に実施している。

 ウクライナによるドローン攻撃も続いている。

 ゼレンスキー大統領は24日「同国の情報機関のドローン攻撃により、ロシアの石油関連施設30カ所以上に打撃を与えた」と戦果を誇った。

 ロシア側も対策を講じているが、有効とされるジャマー(電波妨害措置)がうまく機能していないことが災いして、被害の拡大を防ぐことができないと言われている*1

*1自爆ドローンによる損害増えるロシア軍、一因は「お粗末な電波妨害装置」(6月21日付、Forbes JAPAN)。

 ロシアが米国に対して反発を強めていることも気になるところだ。

 ロシアは「クリミア地域へのミサイル攻撃に米国製兵器が使われた」と米国を非難しており、ウクライナ情勢を巡ってロシアと米国との間の軍事衝突の懸念が生じている。

 中東地域の地政学リスクも高まるばかりだ。

 直接の原因となったイスラエルとハマスの停戦合意への期待は大きく後退している。

 世界の物流に悪影響をもたらしているイエメンの反政府武装組織フーシ派の妨害活動も一向に止まる気配が見えてこない。

 国際海運会議所を始めとする世界の海運業界は影響力を有する各国に対し、フーシ派による攻撃を阻止するよう対応を要請する異例の事態となっている*2

*2紅海で相次ぐ貨物船攻撃、人的被害も増大 海運業界が対策要請(6月21日付、CNN)

 フーシ派によるこれまでの攻撃で乗員が少なくとも3人死亡している。

 英国に拠点がある海運コンサルタント企業「ドリューリー」によれば、世界の海上輸送費が1年前に比べ233%増と急騰している*3

*3紅海での攻撃受け海上輸送費が233%の急増、海運業界の試練続く(6月22日付、CNN)

 ここに来て市場が最も注目しているのは、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが全面戦争に突入するかどうかだ。