テニスに限らず、どの世界においても、新世代の連中たちが小粒で冴えない。セナやプロスト、シューマッハがいなくなったF1がおもしろくなくなったのも、同様の理由による。フェルスタッペンやアロンソ、ハミルトンではいかにも力不足・魅力不足である。

 子どもの頃、相撲人気はすごかった。「黒い弾丸」房錦や「潜航艇」岩風、巨漢大起(おおだち)など、幕内全員の四股名を知っていた。信夫山、大内山、三根山、安念山、成山、鶴ヶ峰、若秩父など。その他、「狛犬」みたいな仕切りをする鳴門海、彫りの深い顔の明歩谷、尻がブツブツの松登などを思い出す。

 個性的な力士は少ないものの、現代では、少し前には若貴が出てきたことや、最近でも大の里や尊富士など力のある若手が出てきて頑張っている。

 しかし、仕切りに厳しくなったのはいいことだが、そのわりに「はたき込み」や「引き落とし」ばかりが増えて、相撲内容が乏しいのは鼻白む。ただ宇良や翠富士の活躍は楽しい。朝青龍や白鵬がいなくなってイライラが解消した。

 野球だけは野茂やイチローや大谷翔平や佐々木朗希が出てきて、昔にひけをとらない。むしろ個人としてのかれらの力量は、昔の選手を上回っている。

 だが例えば、「安打製造機」の榎本喜八、「400勝投手」金田正一、「神様仏様稲尾様」の稲尾和久や、江川卓に比べてどうか、は一概にいえない。比べようもないが。

当時の巨人軍スター選手、長嶋茂雄(左)、金田正一(中央)、王貞治(1969年11月、写真:共同通信社)当時の巨人軍スター選手、長嶋茂雄(左)、金田正一(中央)、王貞治(1969年11月、写真:共同通信社)

 わたしは現在のプロ野球にほほ関心がなくなっている。しかし昔、子どもの頃は、オールスターゲームが楽しみだった。セパ両軍とも錚々たる選手ばかりで、ワクワクして待ったものだが、現在でも子どもたちにとっておなじだろうか。

俳優も人材不足だ

 現在の日本の俳優は小粒で、人材不足の感が否めない。中年俳優は役所広司ひとりが出ずっぱりである。あとは吉田鋼太郎ぐらいか。

 昔は(それこそわたしが小学生の頃)、月形龍之介、進藤栄太郎、笠智衆、佐分利信、宇佐美淳、阿部徹、山形勲、徳大寺伸、など多士済々の俳優がいた。