キヤノン、セブン&アイ、東芝などに突きつけられた「要求」

 昨年6月に開かれた株主総会では、90社に対して344件の株主提案があった。これは過去最多である。そのうち東洋建設やNCホールディングスなど4社7件の株主提案が可決された。その多くが取締役選任に絡むものだった。

 株主提案でなくても、アクティビストの意向が、企業側の提案の否決につながることや、重要な方針転換につながるケースも増えてきた。

 エレベーター大手のフジテックでは、昨年の定時総会、そして今年の臨時総会で会社側、そして創業家側の人事案に対し、アクティビストが反対を表明し、それぞれ否決された。

 キヤノンの昨年の株主総会では、20年以上にわたり社長・会長を務め、経団連会長まで経験した御手洗富士夫氏の取締役再任にアクティビストが反対。賛成50.59%の僅差で再任された。業績が悪いわけではないが、女性取締役がいないなどボードメンバーの多様性のなさがこの事態を巻き起こした。

 前述の東芝が非上場への道を歩むきっかけになったのも2年前に会社が提案した分割案が否定されたためだし、セブン&アイホールディングスが今年4月にスーパー部門のイトーヨーカ堂を分離すると発表したのも、長年、アクティビストがそれを要求し続けてきたためだ。

 このように、今ではアクティビストの要求への対応は、株主総会を迎える企業にとって最優先せざるを得ないテーマとなっている。