株主総会で発言するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(同社サイトより)

現段階ではChatGPTより孫氏のほうが賢い?

「ほら吹き男」が復活した。孫正義・ソフトバンクグループ(以下、SBG)会長兼社長のことだ。

 6月21日、SBGが株主総会を開いた。SBGは2022年3月期に1兆7000億円、前3月期も9700億円の巨額赤字を垂れ流している。孫氏はこれまで、3カ月に一度の決算会見で自らの考えを伝えていたが、昨年11月を最後に決算会見への出席を見送っていた。そのため今回の総会は孫氏が久々に公衆の面前に出ることで注目されていた。

 総会では当然のことながら赤字についての株主の質問があった。孫氏の答えは次のようなものだった。

「2兆円、3兆円の赤字は誤差のうち。株主を前にこんなことを言うのは不謹慎。でも本音です」

 そのうえで、創業30周年の時に掲げた「2040年に時価総額世界トップ10入りする」目標について、「自信がある」と言い切った。足元の大赤字と未来への自信。そのギャップを埋めるのが、昨今のAIの爆発的進化だ。

 生成AIのChatGPTはリリースから2カ月で全世界の利用者が1億人を突破するなど、驚異的な普及を遂げている。これを利用する企業のニュースが毎日のように流れるだけでなく、自ら生成AIを創ろうという企業も相次いでいる。

 孫氏自身、毎日ChatGPTと対話しているという。あるビジネスモデルを提案してChatGPTに問題を指摘され、その解決策を提示するというやりとりを繰り返し、最終的にChatGPTに褒められたことを株主総会でも嬉しそうに紹介していた。

 このやりとりは、現段階では孫氏がChatGPTより賢いことの自慢でもある。しかし孫氏は、10年以内にAIが人類の知性を上回る「シンギュラリティ」が起きると断言した。

 従来、シンギュラリティは2040年、もしくは2045年に起きると予測されていた。しかし孫氏は、それがはるかに早まると言い、しかも「全人類の叡智の総和の1万倍」の知識を持つばかりか、AIには不可能とされてきたクリエイテビティや理性を持つようになると予測する。

 普通の人が言ったら「本当かよ」と思うような話だ。しかし孫氏はこれまでも、嘘のような大風呂敷を広げ、それを実現してきた男だ。シンギュラリティについても、まったくの夢物語ではないと孫氏は言う。

写真:ソフトバンクグループ株主総会のネット配信より