あらゆる商売の原点は「欲望」

 もちろんそのままでは制作許可が下りないので、企画を練り上げる中で自身が持つ欲望をさらに分析。根本的には「他人の深夜の無防備な姿が見たい」気持ちがあることに気付き、性および衣食住の“住”という人間の興味が集まりやすいポイントを意識した番組が誕生した。

未だコンテンツ化されていない欲望が自分の中にあれば、それは大きなチャンスです。あるいはあなたの周囲に妙な欲望を持っている人がいるのであればそれもチャンス。映像コンテンツに限りません。あらゆる商売の原点はここにあります。

 ほかにも、同書では競争の激しい世界に身を置き、キャリアを積んできた上出氏ならではの仕事との向き合い方について詳しく述べている。番組制作の過程をフィクション形式で紹介するパートでは、ドキュメンタリー制作現場の想像以上の厳しさも体感できる。

 仕事や人生に悩む人はもちろん、プロフェッショナルの仕事ぶりを覗いてみたい人も、手に取ってみてはいかがだろうか。

ありえない仕事術 正しい“正義”の使い方』(上出遼平著、徳間書店)