- あなたの仕事がうまく回らないのは、職場に巣食う「害虫」のせいである――。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints=制約理論)の第一人者、岸良裕司氏(ゴールドラット・ジャパンCEO)が、会社を停滞させる構造的な問題を害虫に見立て、その特徴と対処の仕方を、実例を基に伝授する。
- 第17回は、業績が低迷している会社の上層部に生息する「キキカンアオリ虫」。「危機感を持て!」と現場に号令をかけるが、一向に改革は進まない。
- それもそのはず、変わるべきは経営陣自身。現場からは“経営患部”とバカにされ、いずれは株主など外部からのプレッシャーで放逐される。(JBpress)
(岸良裕司:ゴールドラット・ジャパンCEO)
名称:キキカンアオリ虫
職場へのダメージ:★☆☆☆☆
主な生息地:「危機感を持て!」と大号令を飛ばす経営トップの周辺に生息する。業績が低迷すると、組織の上部から急速に増殖し、会社中が騒がしくなるので発見は容易である。
特徴:「キキカンヲモテ!」と聞こえる鳴き声を出すと同時に、ムチのように変異した手足で周囲の尻を叩き、同じように鳴かせて大合唱となる。現場に変革を迫る一方、最も変わらなければならない経営幹部が変わらないので、業績が好転しない。その結果、株主などから圧力を受け、経営陣から失脚するので寿命は意外と短命である。
「危機感を持て!」で会社は変わるか?
「危機感を持て!」
業績が低迷する中、こんな声が経営幹部から聞こえてきたら「キキカンアオリ虫」が侵入している可能性が高い。キキカンアオリ虫はムチのような手足を持ち、周りの人を叩き同じように鳴くことを強要する。そのため組織の上部に発生すると瞬く間に現場にまで広がり、気づけば会社中が「キキカンヲモテ!」の大合唱で大騒ぎになる。
「経営改革」は文字通り、経営を改革することで、「現場改革」とは異なる。だが、キキカンアオリ虫がいったん会社に忍び込むと、本当に変わらなければならない経営はそっちのけで、現場にムチを打ち、経営改革が必要なのに現場改革に矮小化されてしまう。
「経営改革」と「現場改革」、どちらが大きな成果が望めるか?
「経営改革」と「現場改革」、どちらが難しいか?