中学にもろくに通わず地元の時計店に丁稚奉公に入る。
仕事はきつかったが3度の食事が有難かったという。
「目が真っ赤になる程一生懸命に働いたよ」
「世間を恨んでも仕方がない。きっと、絶対に金持ちになったるんやという夢がメラメラと燃えとったんやろな」
彼の口調は感傷に浸りながらも淡々としていた。
ヤクザに縛られ埋められる
そして20歳の頃から独立して商売を始めたというが、裸一貫の若者が歩む道のりの厳しさは容易に想像できる。倒産を繰り返し、否応なく裏社会との繋がりもできる。
「一番怖かったのは山菱(山口組のこと)の若いのから縛られて首だけ出して埋められた時やな。これはもうアカンと思うたわ」
凄まじい体験だが、それをどう切り抜けたのかは聞けなかった。
「ヤクザは金と暴力だけやからな。何とか収めたわ」とだけ彼は語った。
そしてその後、彼は高利貸しを生業とする。闇の世界で必死に金にしがみつくのだ。
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