内大臣にまで出世して叔父の道長を抜き去った伊周
そんな兼家の跡継ぎになるだろうと注目されたのが、長男の道隆である。一条天皇が即位すると、その日に従二位となり、さらに4日後に正二位になるという、すさまじいスピード出世を果たす。
そんな道隆もまた、父の兼家にならうように自分の息子たちを引き上げていく。次男の頼親は長男でもなく、かつ、嫡妻との子でもないため軽んじられたが、長男の道頼と三男の伊周(これちか)は共に出世している。とりわけ道隆が期待したのが、嫡妻の高階貴子(たかしなのたかこ)との間に生まれた伊周だ。
今回のドラマでは、道隆の妻で、伊周の母にあたる板谷由夏演じる高階貴子が、伊周の才をこう褒めたたえて、親バカぶりをいかんなく発揮している。
「ほんとに伊周は漢詩も和歌も笛も弓も誰よりも秀でていますものねえ」
伊周は19歳の若さで、権大納言に任ぜられた。この時点で、権中納言だった長男の道頼を含めて5人も追い抜いている。そればかりか、伊周からすれば8歳年上の叔父にあたる藤原道長にも並ぶこととなる。
勢いはそこからも止まらず、翌々年には伊周は内大臣にまで出世。権大納言にとどまる道長を抜き去った。道長が貴族社会の頂点に立つに当たり、伊周は序盤に立ちはだかったライバルともいえよう。
平安朝後期成立の歴史物語『大鏡』では、道長と伊周で弓の対決を行うシーンも出てくるが、ドラマではどのように道長は伊周に勝つのだろうか。楽しみである。