高校普通科在籍率:東京88.6%、宮崎45.4%
現在でも大学進学を望む人が進学しているのだから「地域格差は個人の“自由”な選択の結果」という意見もあるかもしれない。しかし、どのような選択肢が18歳にとって現実的かどうかは制度的に制約されている実態がある。
特に義務教育ではない高校教育は制度的な格差が明確だ。最も分かりやすいのは、学科の区分だろう。
普通科と職業学科ではカリキュラム、進路指導、先輩の進路、同級生のSESや大学進学意欲、学校外教育利用率など様々な違いがあり、都道府県によって学科の比率はかなり異なる。
2023年の高校3年生でみると、最も普通科在籍率が高いのは東京都で88.6%、47都道府県で最も低いのは宮崎県の45.4%だ。
大学進学と親和性が高いカリキュラムを持つ普通科の在籍率は実際の4大進学率と関連している2。可視化するために、2023年度の高校3年生の普通科在籍率3を横軸に、同年の受験結果による18歳人口に占める4大進学率4を縦軸にした図を作成した。
たとえば、図の右上に示される東京都は普通科在籍率88.6%で4大進学率も77.6%と高いが、左下にある宮崎県だと普通科在籍率45.4%で4大進学率も40.1%に留まる。
大学進学という観点では、どの都道府県で育つかによって現実的な機会に差が存在するといえる5。
2 職業学科からの大学等への進学率も近年上がっているが、普通科との差は大きい。「普通科・職業学科別進学率就職率」文部科学省。
3 学校基本調査を用いた全日制と定時制の合算。普通科以外は職業学科(専門高校)と総合学科。
4 浪人生も含まれるが毎年各都道府県の浪人生が同程度と見做す。
5 そもそも大卒にならなければ給与などが低い社会構造そのもの(中村・松岡編2021)について再考することも重要である。