研究成果開示義務は撤廃へ閣議決定

 2023年12月上旬に自民党の政調審議会が公表したNTT法のあり方に関する提言では、「研究成果の普及責務は次期通常国会で撤廃すべき」としました。

 ユニバーサルサービスについても、業界全体で担う仕組みにしていくため2025年の通常国会をめどに電気通信事業法を改正し、NTT法の「『電話のあまねく提供』責務を撤廃すべき」と提言。2025年の通常国会をめどに条件付きでNTT法廃止を求めることも提言に盛り込みました。

 この自民党の提言ではNTTの主張が大きく反映された結果となり、KDDIなど競合他社3社は猛反発。3社のトップが急きょ会見を開いたほか、電気通信事業者や地方自治体など181者がNTT法の廃止への反対と慎重な政策議論を改めて要望する意見を表明しました。

 その後2024年3月1日に、同年の通常国会に提出するNTT法改正案が閣議決定されました。今回の改正案ではNTTに対する研究成果の公開義務の撤廃や外国人役員の規制の緩和、社名の変更を可能にすることなどを盛り込みました。

 また閣議決定された改正案では、付則の中で「廃止を含めて検討」と表現し、廃止については議論の余地を残す形となりました。この付則について、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は「NTT法廃止を含めた検討や時限を設ける規定は、拙速な議論を招きかねない」とした上で、「引き続きNTT法の『廃止』には反対、より慎重な政策議論が行われることを強く要望」と見解を改めて公表しました。