「企業のカネ」を絞る一方、公金制度つくる

 もう1つの柱が政治資金の改革です。1970年代〜80年代に噴出した自民党のスキャンダルのほとんどがカネをめぐるものだったことから、政治資金規正法を改正し、企業や団体(労働組合など)からの献金に厳しい制約を課すことにしました。政党や政党支部などに献金する道は残したものの、腐敗の温床とされた政治家個人への企業・団体献金を禁止したのです。

 そのとき、同時に成立したのが政党助成法です。その目的は何だったのでしょうか。総務省の「政党助成制度のあらまし」は次のように説明しています。

「議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、選挙制度および政治資金制度の改革と軌を一にして創設された、国が政党に対する助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達を促進し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とした」

 1994年当時を振り返ると、各界の意見や世論調査の結果は企業団体献金の全面禁止を求めていたことが見えてきます。

 しかし、企業のカネが政党・政党支部に流れる道筋は残りました。そのうえで、企業・団体献金の蛇口を絞るだけでは政党が財政難に陥って健全な政治活動ができなくなる恐れがあるとして、公金を政党に注ぎ込む仕組みも作ったのです。企業のカネを受け取る道も残し、公金を受ける制度もつくり、そしてその仕組は現在に引き継がれました。