ハッシャダイソーシャルが仕掛けた「CHOOSE YOUR LIFE FES ‘24 #18歳の成人式」(写真:伊邉大夢、以下同)ハッシャダイソーシャルが仕掛けた「CHOOSE YOUR LIFE FES '24 #18歳の成人式」(写真:伊邉大夢、以下同)

 3月22日、「CHOOSE YOUR LIFE FES '24 #18歳の成人式」と題されたイベントが開催された。2022年4月に成年年齢が引き下げられたことを受け、「18歳の新成人のためにお祝いをしよう」という半ば思いつきから始まったイベントである。2回目の今年は日本各地からおよそ500人の18歳が参加。人気バンド「ハルカミライ」や「My Hair is Bad」も駆け付け、ライブを披露した。

 協賛企業からの寄付やクラウドファンディングで1500万円をかき集め「18歳の成人式」を開催したのは、28歳の三浦宗一郎と勝山恵一を中心とした「一般社団法人ハッシャダイソーシャル」。このイベントを通して彼らが参加者たちに伝えたのは、「Choose Your Life」、自分の人生を自分で選び、自分らしい生き方を追い求めることだ。

 三浦と勝山は4年以上、日本中の高校や児童養護施設、少年院を回り、自分らしく生きるためにあがき続けろと語り続けてきた。ヤンキー、ひきこもり、目標を見失う若者たちをなぜ彼らは奮い立たせるのか──。『人生は選べる Choose Your Life「ハッシャダイソーシャル」1500日の記録』(朝日新聞出版)を上梓したジャーナリストの篠原匡氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──「ハッシャダイソーシャル」とは何でしょうか?

篠原匡氏(以下、篠原):「ハッシャダイソーシャル」は、全国の高校、少年院や児童養護施設などを訪問して、キャリア支援などを行っている団体です。

 例えば、これまでの自分たちの人生を振り返りながら、「自分の人生を自分で選択するとはどういうことか」を語ったり、ワークショップやオンラインでのプログラムを通して様々な仕事や社会の実情、自己探求の方法などを深掘りしたり、そんな機会を若い人たちに提供しています。

 最近でこそ進学校など話に行く機会も増えていますが、もともとは「教育困難校」と言われるような偏差値の低い学校や少年院、児童養護施設などを回っていました。そういう学校や施設にいるような若い人は家庭環境が複雑だったり、勉強ができないことに劣等感を抱えていたり、10代半ばにして人生をあきらめているような子が少なくないからです。

 そういう若者に自分の可能性に気づいてもらい、新しい人生の一歩を踏み出してもらう。それが彼らの活動の原点です。

──創業者の勝山さん自身がヤンキーだったようですね。

篠原:高校中退後、勝山さんはバイクを乗り回して、ケンカに明け暮れる日々を過ごしていたようです。ただ、いろいろな人たちと出会う中で「Choose Your Life」という言葉に出合い、自分と似たような環境にいる若い人に「Choose Your Life」を話すことに人生の意味を見出すようになった。

 その後、24歳の時に三浦さんと一般社団法人ハッシャダイソーシャルを立ち上げ、マイク一本で日本中を回るようになった──というのが、彼らのこれまでの話です。

──三浦さんも元ヤンキーですか?

篠原:いえ、彼はヤンキーではないです。どちらかと言うと、その対極にいるようなしっかりとした人。

 三浦さんは、もともと学校の先生になるという夢を持っていましたが、リーマンショックで家業の土木会社が傾き、高校進学をあきらめざるを得ず、トヨタ工業学園という職業能力開発校に進みました。勉強しながら自動車製造にまつわる様々な技術を学び、卒業後はトヨタの正社員になるという学校です。

 そういう意味では、三浦さんはやりたいことがあったけれど、先の選択が閉ざされていた。それでも、本を読み、世界中を旅して、人との関わりの中に飛び込みながら、彼は自分の人生をこじ開けてきました。そして、勝山さんと出会い、一緒に活動するようになった。

ハッシャダイソーシャルのメンバー。真ん中が三浦宗一郎、その左は共同代表の勝山恵一ハッシャダイソーシャルのメンバー。真ん中が「18歳の成人式」を仕切った共同代表の三浦宗一郎、その左は同じく共同代表を務める勝山恵一

 そういう自身の経験をもとに、「人生は選べる」「人生は変えることができる」と語っているんですね。

──ハッシャダイソーシャルの活動はどのように始まったのですか?