5月8日、トヨタ自動車は2024年3月期決算を発表した(写真:つのだよしお/アフロ)
  • トヨタ自動車の2024年3月期の業績は日本企業として初めて営業利益が5兆円を超えた。
  • 決算発表の席で佐藤恒治社長は10年先を見据えた自動車産業の変革について、持論を述べた。
  • それは大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルからの転換だ。1.7兆円の投資は、そのための第一歩だ。(JBpress)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 トヨタ自動車の2024年3月期決算が大きな話題になっている。営業収益45兆953億円、営業利益5兆3529億円と、それぞれ過去最高を記録したからだ。営業利益が5兆円の壁を越えるのは日本企業で初めて。

 決算説明会でトヨタは、次の10年に向けた中長期的な経営のあり方について重要な見解を示した。それは、大量生産・大量消費による規模の経済を前提とした経営から脱却する必要性に、多くの企業が直面する可能性だ。トヨタは今後、そうした事業構造改革の先頭を走るという。

 それこそが、モビリティカンパニーへの変革だ。

5月8日に実施された、トヨタの2024年3月期の決算説明会の様子(写真:筆者撮影)

 決算発表後の報道陣との質疑応答の際、筆者の質問に最高経営責任者(CEO)の佐藤恒治社長がコメントした。

 実際のやりとりは、トヨタのホームページで、当該プレゼンテーションに関する動画で誰でも確認できるが、本稿ではその部分を以下に書き出す。(一部、読みやすさを考慮し編集を加えた)

筆者:モビリティカンパニーに向けた投資という話が出たが、その中で新しい価値としてSDV(ソフトウエア・デファインド・ヴィークル)における戦略的パートナーシップや、エネルギーのデータ等々の話があった。

 その上で、現状の事業基盤である『台数ありきの収益構造』から、社会における車の台数を含めた最適化の議論になっていくと思う。

 本日の話では、(いまは)足場固め(の時期であり、その上で)10年先を見越したということ。販売のあり方に結びつくかもしれないが、自動車産業の大きな事業変革にむけて、これからどのようにしていくのか? 

   イメージ論でも結構なので、お話いただきたい。