シオニズムを批判するユダヤ人はほとんどいない

──本書では、イスラエルがパレスチナに行ってきたことを批判するユダヤ人の言葉なども紹介されています。「反シオニズムのユダヤ人も大勢いて、彼らもロビー活動をしている」と書かれていますが、こういった方々は少数派なのでしょうか?

岡:昨年10月に、アメリカの正統派のユダヤ教徒がワシントンDCで「JEWS SAY CEASEFIRE NOW」(ユダヤ人は今すぐ停戦を求める)と掲げて抗議行動を行いました。

「Not in our name」(私たちの名前で戦争をするな)というメッセージもありました。イスラエルがユダヤ人の名のもとにパレスチナ人を迫害するのを止めろと訴える声です。アメリカのユダヤ人の中には、このように非暴力の直接行動に出ている者たちも大勢います。

 イスラエルの中にも、パレスチナを占領することに反対するシオニスト左派のユダヤ人はいますが、1948年のイスラエルの建国とその基盤となっている「シオニズム」を批判するユダヤ人は本当に稀です。

 このような状況下で、イスラエルのユダヤ人の国会議員オフェル・カシフ氏は、南アフリカがイスラエルのパレスチナに対するジェノサイドを国際司法裁判所に提訴したことに賛成しました。今イスラエルでは、このカシフ議員の国会追放のプロセスが進行中です。

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長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。