米証券取引委員会(SEC)が2024年1月10日に暗号資産(仮想通貨)ビットコインを運用対象とした上場投資信託(ETF)の申請を初めて承認しました。取引初日の売買代金は46億ドル(約6700億円)とビットコインの投資家層の拡大が期待される一方、当局は暗号資産について注意喚起する声明を出しています。そもそも「ビットコインETF」とは何か、やさしく解説します。(JBpress)
ビットコイン、ETFで投資家層拡大に期待
「ビットコインETF」とは、ビットコインに投資する上場投資信託です。ビットコインの価格に応じてETFが運用される金融商品になります。
そもそもETFは「Exchange Traded Funds」の略で、証券取引所に上場している投資信託になります。投資信託は投資家から集めたお金をまとめてプロが運用し、運用益を投資家に分配するものです。投資家はリスクを抑えながら分散投資をすることができるのが特徴です。通常の投資信託は、1日1回算出される基準価額でしか取引できませんが、ETFは取引時間内に相場の動きを見ながら投資家の判断で売買できるといった違いがあります。
日経平均株価といった株式指数や債券、通貨、金やプラチナといったコモディティー(商品)などの指数の動きに連動して運用される「インデックス型」や連動対象指数を定めないアクティブ型のETFなどもあります。
2024年1月に初めて米国で承認されたのはビットコインを運用するETFです。ビットコインなどインターネット上の通貨である暗号資産(仮想通貨)は、特定の国家や銀行に依存しないこと、特定の管理者ではなく利用者によって取引を監視する仕組みを持つこと、中央管理者がいないため銀行を通じた海外送金に比べ手数料が安いなどの特徴を持っています。ビットコインはリーマン・ショックを招いた中央集権的な金融行政の不信感などから2009年に誕生し、かつて現行の法定通貨のアンチテーゼと期待されてきました。
これまで現物のビットコインは暗号資産交換業者(取引所)のみを通じて売買されてきましたが、今回のビットコインETFの承認により、投資家がビットコインを直接保有しなくても、ビットコインへアクセスできるようになります。
暗号資産を巡っては、ずさんな顧客資産の管理などを背景に2022年11月にFTXトレーディングが破綻に至りました。一方ETFになれば、証券取引委員会の監督下にある証券会社の証券口座を通して扱われるため、仮に証券会社が破綻しても投資家の資産は保護されるといった仕組みになります。そのため、ビットコインへの投資家のハードルはこれまでより下がると言われています。