教育界を覆うシニシズム(冷笑主義)を抜け出す唯一の方法

佐藤:そして、25年が経ちました。2023年時点で、学びの共同体は日本国内3000校以上、海外31カ国で展開されています。一つの地域に一つ、皆が連帯できる学校をつくれば、その活動は自ずと他の学校にも波及していくのです。

──子どもを持たない人も含め、教育に携わるすべての人が学校改革にどのように貢献できるのか、学校改革に参画しようとするときにどういった心構えが必要なのか、この点はいかがでしょうか。

佐藤:学びの共同体を、ロマンだと思う人も多いかもしれません。こんな学校、実現できるはずがないと笑う人もいるかもしれません。

 まずは皆さん、実際に、近隣の学校に行ってみてください。学びの共同体の学校改革のような改革が起こらない限り、子どもたちの将来がない。つまり、日本社会や地域社会の将来がないのです。それを、実感していただきたい。

 また、日本だけではなく、世界の教育も、今やシニシズム(冷笑主義)に染まってしまっています。あまりにも現実が厳しいためです。そんなシニシズムから抜け出す方法はたった一つ。実践で、新しい事実を一つでもいいからつくる。これに尽きるのではないでしょうか。