渋谷の「トイレプロジェクト」にも使われた津久井産の木材

 次に向かったのは、地域材を活用したプロジェクトを展開している相模湖近くの一般社団法人「さがみ湖 森・モノづくり研究所/MORIMO」(代表理事・淵上美紀子氏)。

 2015年の創業以来、市内の小学校の学習机の天板を地域材に取り替える「森の机事業」や、個性的な積み木や子ども用椅子などの製造といった事業を行っている。木育事業や小学校での森林環境学習など、市と連携したSDGsの取り組みにも熱心だ。

淵上美紀子さんと天板の材料(筆者撮影)

「もともとは水源を守る活動から始まり、課題意識が水源から水源林を守るということにつながっていき、津久井産の間伐材を活用した天板づくりを行うようになりました。これまで40校に5500枚を提供しています。また、活用するのは間伐材だけでなく、公園や街路樹でナラ枯れ(カシノナガキクイムシによるナラ菌の蔓延による枯死)した材木もあります」(淵上さん)

 短期的なコストだけではなく、SDGsの視点を持った事業展開を行っているという。

 最近ではこんな話題もある。カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司が、受賞作品内で清掃員として渋谷のトイレで働くシーンが話題になった。

 作品の舞台となったのは「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトで、有名建築家らが手掛けた渋谷区内の17の公共トイレだ。このプロジェクトで隈研吾氏がデザインした鍋島松濤公園のトイレに、同法人が保管していた「さがみはら津久井産材」(間伐材とバタ材)が有効利用されている。