平均年齢30代の若い会社が森を守っている

 本村賢太郎市長の挨拶の後、齊藤さんが国内や相模原における森林管理状況について説明した。

挨拶する本村賢太郎・相模原市長(右)と齊藤理沙さん(中央):筆者撮影

 全国的に山林所有者や林業に携わる人の高齢化が進み、間伐をはじめとする山の手入れが行き届かず、台風や大雨による産地崩壊や土砂崩れなどが頻発。森林の適正管理は社会的にも大きな課題になっているとのことだ。

 そうしたなか、近年はウッドショックに見られるように海外からの輸入が不安定となり、国産材の需要が高まっている。同社は山林所有者から管理委託を受けて管理計画を立て、整備・木材搬出を専門とするスタッフが森林の管理・育成にあたっている。訪れた山林の現場で作業スタッフが実際に木を切り倒す「間伐」作業を披露してくれた。

 切り倒す側の木の表面にチェーンソーの刃を入れ、まずは「受け口」をつくる。その後、反対側から「追い口」という切り込みを入れていく。やがて木は倒れ始めるが、周りが密集していると他の木の幹や枝に引っかかってしまう。そうなると今度はスタッフがロープを架けて引き倒す。

間伐の様子(筆者撮影)

 なかなか大変な作業だが、1本の杉やヒノキを切り倒しても「細い、曲がり、枝が多い」ということでC材に振り分けられると取引値は驚くほど安価(5000円/トン、神奈川県森林組合連合会の資料)だ。それでも管理は欠かせない。

 大学で野生動物学を学んだという齊藤さんが、自らが手掛ける森づくりについて「長い時間をかけて森林を育成管理していくことはやりがいがある仕事。山が未来の価値につながると思います」と語っていたのが印象的だった。