「パリ協定」で新興国含む全参加国が合意

「京都議定書」に次ぐ2013年以降の枠組みの採択が期待されたのが、2009年にデンマークの首都コペンハーゲンで開かれた「COP15」でした。COP15には、国連史上最多とされる119人の首脳が集まりました。

 開催期間終盤、全体会合とは別に日本や米国など約30カ国の首脳級会合が開催され、「コペンハーゲン合意」がまとめられました。気温上昇を産業革命前より2度以下に抑える目標を、新興国も先進国と同様に共有し、その見返りとして先進国が新興国を支援する枠組みでした。

COP15首脳級会合で演説するオバマ米大統領=2009年当時(写真:ロイター=共同)

 ただ全体会合では、ベネズエラやキューバなど一部の国が「合意文書作成のプロセスが不透明」として採択に反対。最終的には決裂を避けるために、法的拘束力のない「コペンハーゲン合意に留意(take note)する」という決定が採択されました。

 新興国を含むすべての参加国が合意したのが、2015年の「COP21」です。COP21は、京都議定書から18年ぶりに、法的拘束力のある合意文書「パリ協定」が採択されました。パリ協定では、世界最大の排出国である中国など新興国を含む全ての参加国が削減目標・対策を講じることに初めて合意しました。

COP21でのパリ協定採択を喜ぶ(右から)フランスのオランド大統領、ファビウス外相、国連の潘基文事務総長、国連気候変動枠組み条約事務局のフィゲレス事務局長=いずれも2015年当時(写真:ロイター=共同)

 共通の長期目標としては、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く保ち、1.5度以下に抑える努力をする」ことが掲げられました。締約国は自国の温室効果ガスの排出削減目標(NDC)を掲げ、具体的に取り組むよう求められました。ただし、京都議定書とは異なり、各国における削減目標の達成は義務ではなく努力目標となっています。

世界的に気候変動対策の推進を求める声が高まっている。写真は2019年の英ロンドンでのデモ(写真:Ink Drop/Shutterstock.com