COP28開催国UAE、産油国のジレンマ

 パリ協定の目標達成に重要となってくるのが、温室効果ガスを大量に排出する化石燃料の抑制です。すでに主要7カ国(G7)では排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の「段階的な廃止」が決まっていますが、欧州連合(EU)は石炭のほか、石油や天然ガスなど化石燃料の利用そのものの「段階的な廃止」の合意をCOP28で求めることを決定しています。アンモニアや水素を混ぜて使う低炭素の石炭火力を開発する日本も、化石燃料の全面禁止には慎重な姿勢を示しています。

 難しい立場なのは開催国のアラブ首長国連邦(UAE)です。議長を務めるスルターン・ジャーベル氏はUAEの気候変動担当特使である一方、世界有数の石油会社、アブダビ国営石油の最高経営責任者(CEO)を務めています。化石燃料の抑制に向けたUAEの姿勢にも注目が集まっています。

 その他、COP28では、気候変動の悪影響に伴う損失と損害(ロス&ダメージ)への対策、新興国への支援の新たな枠組み、脱化石燃料の加速などが主な議論として注目されています。

【主な参考資料】
ABOUT COP28(COP28公式サイト)
気候変動に関する国際枠組み(外務省)
気候変動枠組条約締約国会議(COP)(全国地球温暖化防止活動推進センター=JCCCA)
わかる!国際情勢 コペンハーゲン合意の先へ~気候変動をめぐる国際交渉(外務省)
平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(環境省)
今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~(資源エネルギー庁)
1からわかる!地球温暖化(2)パリ協定と京都議定書、何が違うの?(NHK)