ビジネスにおける情報活用(3)
マーケティングの授業や講座で大学生でも社会人でも回答に出てくる2大用語は、「ブランド」と「顧客満足」でしょう。
ただ、この顧客満足は誰もが口にする言葉ではあるものの、「どうやって計測するのでしょうか?」と問うと、次のようなアンケートを思い浮かべる人が多いようです。
誰もが考える顧客満足度の設問
Q.この商品(サービス)に満足していますか? 当てはまるものを1つ選んでください。
1. 満足している 2.やや満足している 3.ふつう 4.やや満足していない 5.満足していない
そして「この設問で改善すべき点はありますか?」とさらに聞くと、アンケート経験がある人の中には「みんな『3. ふつう』を選びがちなので、この選択肢はなくして4択にしたらどうか?」とか「5段階評価ではなく6段階評価にすれば、中間の選択肢がなくなるから傾向がはっきり分かるだろう」という人もいます。
よくマーケティングを勉強している人であれば「満足とは期待値と知覚品質の差異なので、設問を変えるべきです」という回答をするかもしれません。
しかし、今回は調査自体の技術的な話や学術的な見解の前に、データ分析の観点から「アンケートで顧客満足を本当に測定できているのか?」という話題について考えます。
ある映画配給会社では、映画を公開するたびに興行収入(映画館でお客様が支払った金額の総計)を集計するとともに「顧客満足度調査」を実施していました。
まさに冒頭で示したようなアンケートが顧客満足度調査でした。
同社の映画では多くの映画の満足度は100を満点として80~90台に落ち着き、映画ごとに差があると言えばあるのですが、満足度が高いのか低いのか社内でさほど追求しないまま情報共有される指標になっていました。