今週は震源地が米国の記事を3つ紹介したいと思う。1つが米国防省が8月16日に米議会に提出した「中国を巡る軍事・安全保障の動向」と題する報告書。
2つ目が米国で続々と夜逃げが増え収まる兆しを見せない話題、そして3つ目がスマートフォンを使った新しいマーケティング手法についてである。最初の2つが怖い話で、3つ目は市場拡大が期待できる明るいお話。
今週読まれた安全保障、北朝鮮問題
まずは安全保障の話題から。国防省のこの報告書は、日本でも大きく扱われ、18日水曜日の新聞紙上を賑わした。
それに関連してか、右のランキングを見てもお分かりの通り、今週は安全保障がらみの記事がよく読まれた。
例えば、今週のランキングの中で2番目の「風雲急を告げる朝鮮半島有事に備えはあるか」、3番目の「金正日の死去間近? 大混乱必至の朝鮮半島」。
また、7番目の「米国に宦官にされた国、それに気づかぬ国民」、11番目の「北朝鮮問題:悪夢のシナリオ」、19番目の「宮古海峡を堂々と通過した中国海軍の真意」。
これらは今週ではなく先週までの記事だが、今回の米国防省の報告書に関しては、「中国の軍拡に参った? 強硬論後退の米政府」の記事が取り上げている。
元外務省の官僚であり米国のワシントンD.C.に駐在して軍事関係情報収集に当たっていた専門家として、非常に奥深い、かつ正当な指摘がなされている。
新聞各紙を見る限りでは、軍拡にいそしむ中国の脅威にばかり焦点を当てているが、これらの指摘は米国防省が昨年までに指摘してきたことと何ら変わらず、新鮮味は全くない。
中国に対して強硬論一本槍ではなくなった米国
今回の報告書で最も注目すべきであり、日本にとっても大切なのは、米国内で中国の扱いを巡ってこれまでにない議論がされ、強硬論一本槍ではなくなっているのが読み取れることである。
これは、米国と中国の国防に詳しく、かつ毎年、報告書を丹念に読み込んでいる専門家でなければ決して分からないことである。国防意識の薄い日本の新聞記者など到底及びもつかない着眼点だ。
米国が中国の軍事力増強にどのように向き合うべきなのか、その大きな潮目の変化が今回の報告書に見て取れることなのだ。
まず、この報告書「中国を巡る軍事・安全保障の動向」は、例年3月までに議会に提出しなければならないものだった。それが、約半年も遅れてしまったという点に筆者である宮家邦彦氏は着目する。