バブルが崩壊して20年。日本はあまり変わっていないように見えてその実ドラスティックな変化を遂げている。

企業内教育は今や先進国中で最低に落ち込んだ

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 企業はそれまでの年功序列や終身雇用をまるで悪の権化のように見なし、企業内教育もムダとばかりに真っ先に削減した。

 その結果、今や企業が社員にかける教育・研修費は欧州や米国と比べて悲惨なまでに見劣りするようなレベルに落ち込んでいる。

 にもかかわらず、新卒採用では大学で徹底的に専門を学んだ学生を採るようにはなっていない。

 長年の企業の採用方針から、大学の教育現場でそうした学生をつくってこなかったのが最大の理由だろう。

 例えば、日本は大学進学率が先進国の中でも非常に高いレベルにあるのに、大学院以上の教育を受ける人たちは先進国中で最低。韓国やシンガポールなどのアジアの国々に比べても低いレベルにある。

 いずれ大学の教育現場も社会の要請に応じて変わらざるを得ないだろうが、現状では、大学教育と人材を採用する企業との間で大いなるミスマッチが起きている。

 その実態を示した記事が「日本の大学教育が崩壊している」である。

 日本の大学を卒業する学生のうち約2割が就職にありつけないという衝撃的な内容だ。両親は多額の授業料を払い、また国も補助金という形で多額の支援をしているのに、就職する先がなく就職浪人やフリーターとなっていく。

8人の学生に1人の教員をつけた米スタンフォード大学

 これでは、時間がありそうでない若い人材の時間を空費してしまうことになる。もはや企業に昔に戻れと言っても難しいだけに、大学側の改革が急務である。もし変われないとすると、いずれ企業は日本の大学を見限る可能性だってあるかもしれない。

 スタンフォード大学の現学長であるジョン・へネシー氏は、同大学始まって以来の理工系出身だが、学長に就いて最初に行った改革が学生の可能性を早くから見抜いてそれに合わせて指導を強化するというものだった。

 そのため、新入学生8人に対して教員1人の割合でつけるようにした。1年生の段階から学生と将来について徹底的に議論を重ね、教育プログラムを作っていく。

 既に10年も前の話だが、そうしたプログラムを作っている日本の大学は今でも聞いたことがない。若い人たちは日本の宝である。国際競争力のある人材を育成できるように、日本の大学が一刻も早く変わることを願いたい。