なぜ「天井のない監獄」になった?
パレスチナは、地理的にヨルダン川西岸地区と「ガザ地区」に分断された状況が続いていましたが、ガザ地区がさらに孤立する事態になります。2006年、イスラム組織ハマスがパレスチナの立法評議会選挙で過半数の議席を獲得。パレスチナ内での対立を経て2007年以降、ハマスが「ガザ地区」を事実上、支配するようになったのです。
ハマスは1987年に誕生した組織で、武力闘争を掲げ、イスラエルを国として一切認めず自爆テロなどを繰り返し、イスラエルと激しく対立しています。ハマスはアメリカや欧州連合(EU)などからテロ組織に指定されています。
イスラエルは自国を敵対視するハマス支配下の「ガザ地区」を封鎖するため、ガザへの物資や人の往来をさらに厳しく制限しました。「ガザ地区」の周囲には壁やフェンスが張り巡らされ、「天井のない監獄」と呼ばれるようになりました。
今に至るまで「ガザ地区」は国連や支援団体からの物資に頼っており、日常的に食料や燃料、医薬品などが不足している状況です。地区内に発電所が1つありますが、電力の大部分をイスラエルからの供給に依存しています。地下水は塩分濃度が高いほか排水などで汚染されており飲み水として使えず、水道はイスラエルに管理されています。淡水化施設もありますが停電になれば使えません。