- イスラエルによる病院などの攻撃を受けて、イスラエルとハマスの紛争に対する国際社会の見方は、当初のハマス批判からイスラエル批判に変わりつつある。
- 再選を前に、ユダヤ人支持者をつなぎとめるためにバイデン政権はイスラエル支持を鮮明にしているが、イスラエル支持は民主党内のリベラル派の離反につながる可能性がある。
- 来年の大統領選で現実味を帯びるトランプ元大統領の当選。米国が進めているウクライナ、パレスチナ、中国の三方面対応は崩壊するかもしれない。
(山中 俊之:著述家/国際公共政策博士)
イスラエルのガザでの病院等の攻撃、多数の子ども死傷を受けて国際社会の潮目が変わった。世界の潮目は、当初攻撃を仕掛けたハマス批判から、イスラエルの残忍さへの批判に移行しつつあると言える。米国を含め、世界各地でイスラエル批判のデモが沸き起こっている。
その結果、「ハマスが悪、イスラエルが善」という構図に固執するバイデン氏の支持率は下降気味である。11月3〜4日にロイター/イプソスが実施した世論調査では、バイデン氏への支持率は39%にまで下がった。
この状況を世界で誰よりも喜んでいるのが、共和党の大統領候補の切符をほぼ確実にしているトランプ元大統領だ。来年11月の大統領選を見据え、ガザ地区の凄惨な状況を横目にフロリダ州の豪華絢爛な邸宅で高笑いしているのではないか。