円安・株価下落でも積み立てて大丈夫?(写真:Deemerwha studio/Shutterstock.com

 2022年から現在に至るまで、急激に円安が進んでいます。2022年10月に一時1ドル=150円を記録し、その後130円台に戻りました。しかし2023年6月以降は140円台で推移し、10月26日には再び150円を突破し年初来安値を更新しました。米国株式市場は7月までは好調を維持していましたが、7月末をピークにさえない展開となっています。

 2007年末から2022年末までの15年間を振り返ると、米国株式市場は好調でした。米国市場の値動きを示す株価指数「S&P500」はこの間、年率8.8%でリターンを実現しています。S&P500に連動する投資信託に投資している方も多いことでしょう。

 とはいえ、円安になると、S&P500連動の投資信託を高く買い付けることになるため、「円安のときは投資をやめて、円高になってから買いたい」と思う人もいるかもしれません。また今後、米国株式市場が下落傾向になると、「S&P500に積立投資を続けてよいのか」と思う人も出てくるでしょう。

 今回は「円安・株価下落でもS&P500への積立投資を続けてよいのか」を考えていきます。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

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円安でも積立投資を続けて大丈夫?

 まず、「円安でも積立投資を続けてよいのか」ですが、結論として私は、為替レートに関係なく積立投資は続けるべきだと考えます。

 リーマン・ショック発生後の2008年9月からのドル円相場と、S&P500の動きは、次のグラフの通りです。

●ドル円とS&P500の推移(2008年9月~2023年9月)

出所:Investing.comのデータを基にMoney&You作成出所:Investing.comのデータを基にMoney&You作成
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 青い折れ線のS&P500は15年かけて右肩上がりで成長し、直近は伸び悩んでいるのがわかります。オレンジの折れ線のドル円の為替相場は上下に激しく変動しながら、10月26日には1ドル150円を突破して年初来最安値を更新しました。ドル円は70円台と超円高になっている時期もありますし、反対に、2014年11月〜2016年1月には1ドル70円時代と比べたら大幅な円安局面である120円台となっています。

 振り返れば、当時も円安が進むなかで「円安でも投資してよいのか」という話はありました。しかし、結果的に長期で見れば円高・円安は気にする必要はあまりなかったと言えるでしょう。