「西さん、仲本さんが交通事故に遭ったと警察から連絡が来たの」
「えっ、やはり仲本さんだったのか。で、ケガの具合は?」
「それが全く分からないんですよ。今パトカーが私の家に来てそれに乗って病院に行くことになりました」
「ボクも行くから、どこ?」
「横浜市立病院だって。南区にあるらしいわ」
「分かりました。それでは病院で落ち合いましょう」
娘への電話を渋った仲本
西は仲本のケガの具合が分からなかったが、命にかかわる事故ではないだろうと自分に言い聞かせるようにしていた。朝の渋滞で道は混んでいるから右折信号が出てもそれほどスピードは出ないはずで、あれほど運動神経の良い仲本が簡単に重症を負うハズがない。仲本とは週刊新潮の記事が出てからは毎日会って善後策を話し合っていたから、記事への不満も打ち明けられていた。
不満というのは週刊誌の見出しにもあった「娘が告白」というものだ。西は仲本の前妻の子供とも顔見知りであるから相談相手としては打ってつけだった。
「オレは絶対に許さないから。父親のことを悪く言う娘なんて考えられないだろ。あいつとは縁を切るつもりだから」
仲本が発売直後に西と最初に会ったのは10月15日土曜日の昼のことで、そのとき仲本はこんな強烈な言葉を西に投げかけたという。
「だけど、本当に娘さんが話したことなのか、ちゃんと確かめないとダメじゃないですか」