「キャピトルのあだ討ち」に執念燃やすトランプ、下院議長動かす
またも悪習誕生で米政治の混乱必至、嘲笑うプーチン・金正恩
2023.9.17(日)
高濱 賛
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悪習を作ったマッカーシーの罪
共和党のハンター追及劇を保守系メディアは大騒ぎしているが、リベラル派メディアは冷静沈着な報道に終始している。
その理由は、現在の議会の政治勢力図からみてもハンター追跡劇がバイデン氏弾劾訴追に至る可能性は極めて低いと見ているからだ。
ハンター氏に対する処罰は司法当局が行うこと。ハンター氏が起訴、逮捕されてもそれが大統領およびバイデン・ファミリーの「汚職文化」にどう結び付くのか。
ワシントン・ポストも9月14日の社説でこう書いた。
「マッカーシー下院議長は、バイデン氏に対する弾劾訴追審理は自分には一切害が及ばないと信じているかもしれない」
「だが、これが同氏にとってコストレス(無傷)ではないことを知るべきだ」
「マッカーシー氏は、しっぺ返しが二大政党の間に新たな規範を生み出すのに手を貸してしまったからだ」
「将来、大統領は、野党が下院を制した時には常に弾劾の対象になるという悪習ができてしまった」
「マッカシー下院議長が決断したことは、大統領の権力乱用を防ぐために制定されている極めて重要な憲法上の制約を軽んじる行為以外の何物でもない」
(washingtonpost/2023/09/13/impeachment-inquiry-mccarthy-biden-unwarranted)
繰り返しになるが、共和党が過半数議席を握る下院(222議席)で弾劾決議が承認されたとしても、僅差ながらも民主党が支配する上院(民主51、共和49)では3分の2の賛成が取れなければ通過できない。
しかも下院の共和党議員の中で同決議案に賛成しない者が7人出れば、決議案は可決・成立しない。
もっとも共和党の強硬派の一部は、今度は弾劾訴追がなければ可決が必要な歳出法案に賛成票を投じないと主張し始めた。
10月1日の歳出法案が成立しなければ、米政府の一部職員の給与がまずストップし、政府機能がシャットダウンする。
プーチン氏や同氏と絆を強めたばかりの金正恩総書記の高笑いが聞こえてきそうだ。