バイデン大統領はホワイトハウスの執務室をリニューアルした

300人の側近らを徹底取材

 過去2年間、内政外交でかなりの業績を上げてきたジョー・バイデン米第46代大統領。

 しかし、支持率は40%以上上がらず、今大統領選が行われたら、ドナルド・トランプ前大統領が勝つかもしれないといった予測すら出ている。

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 なぜか。そのナゾを解くカギを提供する新著が9月5日に出た。

 筆者は「ジ・アトランティック」(The Atlantic)のベテラン政治記者、フランクリン・フォア氏。

 過去2年間、81歳のバイデン大統領の側近、補佐官、職員ら300人を取材し、ホワイトハウスの内幕を暴いた。

 432ページに及ぶ力作だ。

The Last Politician: Inside Joe Biden's White House and the Struggle for America's Future​

米国の現在の政治状況は「構造的石灰化」

 同氏は、この中でそのナゾについてこう指摘している。

「今年8月の世論調査でもバイデン氏とドナルド・トランプ氏の支持率は接近している」

「その理由は、分裂した現在の政治状況でこれまで支持してきた政治家を切り替える有権者はほとんどいないからである」

「これを『構造的石灰化』(Structural calcification、構造的な政治状況の硬化)と呼んでいいのではないだろうか。それが世論調査にも表れている」

 そのことを学術的見地から分析したのが、ジョン・サイド(ヴァンダービルト大学)、クリス・トーサノヴィッチ、リン・ヴァヴレック(ともにUCLA)の3教授*1である。

 3氏は、2020年の大統領選挙の政治状況を最大限の迫力で塗り替えた、いくつかのダイナミックス(力学)が原因だと指摘している。

「そのダイナミックスのうちのいくつかが民主党に有利に作用し、残りのいくつかが共和党に作用した」

「それらが相殺されてスタンドオフしたのだ。その結果、両党とも決定的な勝利を手にすることはできなかった」

「トランプ氏がいかにスキャンダルまみれで、パンデミック対策に失敗しようとも共和党員は忠誠を貫き通し、民主党員はバイデン氏を支持した」

「両者の差は紙一重で、ちょっとした変化が選挙結果に大きなインパクトを与えかねなかった」

「この有権者同士の両者に対するスタンスは、選挙後も変わっていない」

*1=3教授は2022年9月、「The Bitter End: The 2020 Presidential Campaign and the Challenge to American Democracy」を刊行。2020年大統領選の意味と今後の米政治へのインパクトについて分析している。