世界中に流布されたトランプの被告人写真は破壊度抜群、万事休すか
米国に31%いる無党派層はこれでトランプに票を入れなくなる
2023.8.28(月)
高濱 賛
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共和党州で屈辱のマグショット一般公開
中立リベラル系NPRは「トランプの終わりの始まり」とコメントした。
保守系ウエブサイトは「トランプはこれで政治的な司法当局と戦う殉教者となった」と言い張った。
(What Trump's scowling mugshot means for an America full of rage)
右と左が真っ向から対立する米国は、亀裂の深さをマグショットという「リトマス試験紙」に対する反応で改めてあらわにした。
すでに刑事被告人になっているドラルド・トランプ前米大統領(77)は8月24日、2020年大統領選の南部ジョージア州での敗北を覆すために州当局に違法に干渉したとされる事件の起訴後の手続きのため、同州フルトン郡の拘置所に出頭した。
罪状は、反社会組織に適用される「組織犯罪処罰法」(ROCO)違反など重罪13件だ。
トランプ被告が起訴され、事実上逮捕されたのはこれが4件目になる。だが今回はその衝撃度でこれまでの3件とは異なっていた。
今回は「レッドステート」(共和党支配州)の南部ジョージア州の法規*1に沿って、トランプ被告の「マグショット」(警察用ID顔写真)を撮影し、直ちに一般公開したからだ。
しかも連邦地裁での公判とは異なり、ジョージア州での公判では有罪になっても大統領権限による恩赦はない。
言い換えると、トランプ被告や他の大統領候補のなかには、当選したらトランプ被告らを恩赦すると明言しているが、連邦裁ならともかく、州裁にはその権限は及ばないからだ。公判はテレビ中継されるのではないか、という情報もある。
トランプ被告は、ここでは全くの「裸の王様」。逃げ場はない。
顔写真の左上に「フロリダ州フルトン郡法執行官オフィス」の印が押されたマグショットは直ちに世界中に発信された。
*1=ジョージア州やフロリダ州などの「レッドステート」(共和党支配州)は、起訴された刑事被告人に対しては指紋採取とともに「マグショット」(正面、側面の顔写真)の撮影および公開が「公共記録法」で規定されている。ブルーステート(民主党支配)のカリフォルニア、マサチューセッツ各州では顔写真の公開は禁止されている。ワシントン特別区、フロリダ州連邦地検ではトランプ被告の顔写真撮影は「容易に判別できる」などの理由から免除されていた。