バイデン大統領暗殺未遂事件、米メディアはなぜ音なしの構えなのか
SNSに暗殺予告した“犯人”をFBIが射殺して一件落着
2023.8.12(土)
高濱 賛
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トランプ起訴の検事、判事も標的リストに
アメリカ合衆国は恐ろしい国である。大統領を暗殺しようとする者が後を絶たない。
暗殺したいとSNS に投稿しただけで米連邦捜査局(FBI)が動き、抵抗すれば問答無用で射殺されてしまう。
何しろ、この間まで大統領だった人物が反乱扇動罪で裁判にかけられ、無罪を主張して次期大統領選に立候補し、目下選挙キャンペーン中だ。
刑事被告でも大統領選に出られるし、共和党支持者の7割が同党の大統領候補にしたいと答えている。
政治理念や社会通念をめぐって保守派とリベラル派が真っ向から対立し、分裂の度合いを深めている。
メディア報道も二極化し、対立をあおり、一方で銃の野放し状態は未来永劫続きそうだ。
そうした「ノーマルではない国家」であれば、今回ユタ州で起こったFBIによる「MAGAトランパー」(=トランプ信奉者、容疑者は自らをこう呼んでいた)射殺事件も日常茶飯事な事件なのかもしれない。
事実、西海岸の雄、ロサンゼルス・タイムズも同事件を10ページ目の紙面に「バイデンを脅した容疑者殺される」と淡々と報じている。
容疑者は大卒、モルモン教徒か
事件の概要はこうだ。
FBIは8月9日、ジョー・バイデン大統領の暗殺を計画していた西部ユタ州在住の男を射殺した。バイデン氏が遊説で同州ソルトレイクシティを訪問する数時間前の出来事だった。
FBIの捜査官数人が同日午前6時すぎ、男の自宅で逮捕状と捜索令状を示そうとした際に、抵抗したため射殺された。
男の名前はクレイグ・デリュー・ロバートソン(75)。
モルモン教系のブリガム・ヤング大学卒。一応、インテリである。しっかりした政治信条を持っていたものと思われる。