昨年7月マイナンバーカードをPRする金子恭之総務相(当時) (写真:共同通信社)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いで発覚している。

 そうした中でマイナンバーカードが現状でどれだけ役に立たないか、私がつい最近体験したあまりにバカバカしいエピソードを披露してみたい。

マイナカードがあれば戸籍証明書もコンビニで取得できるはずなのに…

 個人的な事情から戸籍を証明する書類が必要になった。8月に入ってからのことだった。

 マイナンバーカードはすでに取得済みだ。これさえあれば、近所のコンビニエンスストアで戸籍証明書(戸籍謄本・抄本)や住民票の写しは取得できるはずだった。役所の窓口で交付されるより、手数料も安く済む。

 ところが、本籍地を置く東京23区の区役所のホームページを覗くと、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスで取得できる証明書は「住民票の写し」「印鑑登録証明書」、それに「特別区民税・都民税課税(非課税)証明書」「特別区民税・都民税納税証明書」だけしかなかった。

 おかしい。国の説明やネット上の宣伝では「戸籍証明書」も取得できるはずだ。

 そこで区役所の担当部署に電話で問い合わせると、同区では戸籍謄本や抄本のコンビニ交付はできないと言われた。理由を尋ねると「わからない」と電話口の女性が答えた。だから、区役所もしくは出張所に出向いて取得するしかない。その場合の注意点として、こうも言われた。

「お越しになられる場合には、本人確認のために運転免許証、もしくはマイナンバーカードをご持参ください」

 これでは、なんのためのマイナンバーカードなのか、理解に苦しむ。