供養することで後世に伝えられる

 アマビエは、伝染病予防と犠牲者の供養を願って、登場したキャラクターだ。奇しくも予言通り、安政のコレラはアマビエ登場の8年後に流行した。

アマビエは疫病平癒の霊力を持つといわれる

 アマビエはコロナ禍において注目され、商品化されたり、SNSで広がったりしている。過去の感染症にまつわる教訓が、150年以上経過して「癒しのキャラクター」として現代社会に再び活かされたというのは、なんとも不思議な縁を感じる。

 寺や墓、地域に残る古い記録は今一度、見直されるべきだ。そして、新型コロナ感染症終息後は、誰もが常に目にすることのできる石碑などのモニュメントを立ててほしい。供養を続けることで後世に伝え続けることも、寺の大切な役割だと感じている。

筆者の新著『絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)