今回の悪事が何年前から、どのくらいの規模で行われてきたのか、その全容はまだ把握できていませんが、実は、今回の問題は、広い意味で、自動車保険に加入しているすべてのユーザーに影響を与えている可能性があります。なぜなら、保険金支払額のアップは、最終的には保険料のアップにつながるからです。

リスクに応じて保険料が変わる自動車保険

 車やバイクを所有する人の多くが、自賠責保険(国が被害者救済のために法律に基づいて加入を義務付けている対人保険)の上乗せとして加入しているのが、任意の自動車保険です。その保険料は、車種、運転者の年齢条件、運転者の範囲、保険金額や保険内容、等級(無事故割引)等によって細かく規定されています。

 契約時には代理店や損保会社が算出してきた金額をそのまま支払うというパターンがほとんどでしょう。

 免許取りたての若者が初めて加入するときにはその高さに驚く人も多いようですが、自動車保険は「リスク」に応じて保険料が算出されるため、事故を起こす危険性の高い若年層や保険金支払いが多い車種に乗っている人は、その保険料もリスクに応じて高くなる傾向があるのです。

 では、自動車保険の保険料率は、どのように決められているのでしょうか?

 日本でその業務を行っているのが「損害保険料率算出機構(損保料率機構)」です。

 この団体は、損害保険料率算出団体に関する法律(料団法)に基づいて設立された非営利の民間法人で、保険会社を会員とする組織でもあります。

「参考純率」算出法の概略図(損害保険料率算出機構のサイトより)
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 同機構では、会員である各社から寄せられる保険金支払いや契約内容などの大量データを基に、毎年、保険料の基礎となる「参考純率」という数値をはじき出ているのです。

 損保各社は、自社の保険料率を算出する際、損保料率機構から提供された「参考純率」を使用し、さらに、独自に算出した「付加保険料率」(会社としての必要経費など)をプラスして保険料を決めていきます。

 損保料率機構のサイトには「リスクに応じた料率区分」として、次のような説明がなされています。

<自動車を利用する目的(自家用・事業用)や自動車の種類(乗用・貨物、普通・小型・軽など)、自動車の型式、運転者の年齢、過去の事故歴などにより、事故が発生する頻度や被害の程度には差があります。このようなことから、当機構で算出する自動車保険参考純率では、用途・車種、型式、年齢条件、過去の事故歴などによるリスクの差異に応じた区分を設けています>