日本の粗探しは関心が高さゆえ

 6月の世論調査では、福島からの海洋放出について韓国人の80%ほどが反対した。ただし、目くじらを立てているのはごく一部にすぎない。周りの韓国人でも「海洋放出しか方法はないのか」と単純に疑問に思う程度の人がほとんどで、80%という数字はそうした人を含めてのことである。

 環境省などでの説明を見るかぎり、私は海洋放出に拒否感はない。放射性物質はこの地球上から消し去ることはできないのだ。普段も食べ物などを通してそれなりに摂取もしている。

 この件をめぐる韓国での盛り上がりには、科学という範疇を越えて、日本に対して何かと疑問を探し出してしまう韓国社会の複雑な感情が根底にある。それは、日本への関心の高さの裏返しだ。

 そこから見えてくるのは、中国に対してはもはや諦めが先立ち何も言う気にならないが、日本に対しては関心が高いだけに苦言が真っ先に口をつくという韓国社会の風土である。

 韓国ではイシモチは食べても福島県産のものはしばらく輸入しないのだという。しかし私は、一時帰国の折には福島産の魚介類をこれまでのように積極的に食べるだろうし、日本へ行く韓国人にもトリチウムの説明をしながらお薦めしたいと思う。何らかのきっかけで処理水問題への関心が韓国国内で再び高まり、根拠のない批判が巻き起こらないことを願いながら。