(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
今も続く原発処理水を巡る「科学的事実に基づかない反対」
福島第一原発処理水の海洋放出を巡り、相変わらず韓国の革新系野党や市民団体が、科学的事実に基づかない主張を展開している。
共に民主党(以下、民主党)の李在明代表は7月5日、ラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長の訪韓を前に、IAEAが福島大地原発処理水の海洋放出は環境に影響を及ぼさないとしたIAEAの報告書について「内容は根拠もなく、証拠もない空疎なものであるというべき」と“暴論”を述べた。
だが驚くべきことに、この発言にあるような主張は李代表一人のものではなく、韓国の野党政治家や支持層に共通するものなのだ。
同党の梁李媛瑛(ヤンイ・ウォヨン)議員もKBS第1テレビの時事番組に出演して「IAEAは原発国家が分担金を出して運営する機構」だとして、IAEAの中立性に疑義を呈した。
それどころか野党系メディアの記者は、グロッシ事務局長が日本で開いた記者会見で、「IAEAは日本から100万ユーロ(約1億6000万円)を受け取り、処理水放出が安全だという報告書を書いたのか」と、まるでIAEAが日本に買収されたかのような陰謀説に基づく質問をし、グロッシ氏を唖然とさせた。