処理水放出決定を受けて韓国ソウルでは抗議デモが繰り広げられた(写真:AP/アフロ)
  • 22日、政府は福島第1原発の処理水を海洋放出することを決めた。早ければ24日にも開始する。
  • これを受けて、韓国テレビ局では反日感情をあおるような報道が目立った。
  • 処理水をめぐる韓国の抗議は一時下火になっていたが、再び政争のネタとして取り沙汰されている。

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

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 東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出開始が24日に決まると、韓国メディアはこれを大々的に取り上げた。22日の閣議決定からわずか2日後の放出開始に「予想よりも早い」というコメントを各テレビ局の記者が述べている。

 その日夜7時の聯合ニュースに出演した峨山政策研究院の崔恩美(チェ・ウンミ)研究委員は、先週末にアメリカのキャンプデービッドで行われた日米韓首脳会談からの急展開に、首脳会談の前から3国間で事前のすり合わせがあったのではないかと推測した。

 韓国では処理水のことを「汚染水」と呼ぶ。そのせいもあるのか、海洋放出をめぐり韓国社会は極めてピリピリしている。首脳会談後の記者会見でも「汚染水の放出は話題に上ったのか」と韓国人記者から質問が飛び出したほどだ。

 今回の決定を受けて、環境市民団体などが強く反発している。だが崔研究委員は「韓国社会が反対だと言っても、国際原子力機関(IAEA)のような機関が報告書を作成している以上、現実的に海洋放出をやめさせることは不可能だ」とコメントしている。