社会の仕組み作りまで考えるのが使命

 計画には、失敗や見込み違いがつきものです。例えば「パーク&ライド」というシステムがあります。これは車で駅まで来て、そこから鉄道を利用してもらうというもので、各地での成功例も聞いていました。当社でもこれを導入したのですが、その後に駐車料金のデフレが始まり、那珂湊~勝田間の運賃より料金の安い駐車場が、勝田駅前にできてしまった。そうすると、那珂湊駅前の無料駐車場に車を停めてひたちなか海浜鉄道に乗るお客様はいなくなるわけです。

 そういった状況の変化というのは刻々と起こり続けます。ですから、さまざまな計画は、なるべく早く着手して、方向性を見出しておく必要があります。 

 廃止された鉄道が残った例や、その後の社会の動きについて、富山港線の第三セクター鉄道転換などの成功例からお話ししました。鍵になったのは、人材を揃えること、その人をどのように使ってゆくのか、そして、どの方向に導いてゆくのか、ということです。社会の仕組み作りまでを考えながら経営するのが、現代のローカル鉄道に課せられた使命なのだと感じています。

大がかりなイベントには慎重だが、日本各地の鉄道会社で働く設定で展開するキャラクター「鉄道むすめ」に参加し、関連グッズ販売などで売り上げの上積みを図る。写真はひたちなか海浜鉄道のキャラクター、殿山ゆいか。ひたちなか市の干し芋農家出身で、那珂湊駅の駅務係という設定だ。