日本、韓国専門家視察団を受け入れ
一方、5月7~8日に岸田文雄首相が韓国を訪問して開かれた日韓首脳会談で、福島第一原発の処理水の放流に関し、日本は韓国の専門家視察団の派遣を受け入れることで合意した。
その際、岸田首相は、「国際原子力機関(IAEA)のレビューを受けながら透明性を維持して行く」とし、「日本の首相として自国民と韓国国民の健康や海洋環境に悪影響を及ぼす形での放出を認めない」と説明した。
これに対して尹大統領は「科学に基づいた客観的な検証が行われるべきだとする韓国国民の要求を踏まえ、意味ある措置が取られることを期待する」と要請した。
福島原発処理水の安全性に関して、IAEAは4月5日に2回目の報告書を公表している。2月の1回目の報告書では処理水の海洋放出に伴う人への影響を「非常に低い」と盛り込んでいたが、今回の報告では「追加で検証する必要はない」と評価していた。今後数カ月以内に最終報告書をまとめる。
ここまでの報告書を見る限りではIAEAも処理水の海洋放出にお墨付きを与えたと受け止めてもよさそうなのだが、それでも韓国では懸念の声が収まらない。そのため、岸田首相は首脳会談で韓国の視察団を受け入れることにしたのである。