新たな企業誘致を進めるプロジェクトも進行中だが…

 規制がそのまま残る市内中心部はブランド価値がさらに上がることで、これまで以上に中国人など外国人投資家を含む富裕層限定物件となっていく。京都駅南部エリアは新たな複合文化施設やホテルなどが建設され、京都の新しい顔となっていく。街としては文化・商業ゾーンの位置づけだろう。

 市は企業誘致を進めるプロジェクト「京都サウスベクトル」を立ち上げ、駅南側での企業立地促進に力を入れている。京都ではこれまで、市内における企業立地の9割は、市内に拠点を構える企業の施設拡大などだった。最大1億円の補助金制度を設けて市外からの誘致を目指すというが、思惑通りにいくかどうか。

京都市南区にある任天堂本社(写真:アフロ)

 コロナ前の2019年には年間5352万人の観光客(外国人886万人含む)が訪れ、世界有数の観光都市で名を馳せる古都・京都。歴史のある神社仏閣はもちろん、任天堂、京セラ、村田製作所、島津製作所、オムロン、ワコール、ニデック(日本電産)など個性的な「京都企業」の存在感も大きい。そして人口の1割を占める大学生や大学院生という学術都市の顔もある。

京都市伏見区にある京セラ本社(写真:アフロ)

 そんな国際的都市が人口減、財政難に悩むことになった根本的原因はどこにあるのか。規制緩和による新たな都市計画で根本的な解決を図ることができるのだろうか。街並み保護の新景観政策策定の翌年、2008年に市長になり、現在4期目に突入している門川大作市長の真価が問われる局面だ。

鴨川の夕景(筆者撮影)