「らしさ」を維持してきたからこそ人が集まる埼玉・川越(2022年5月、筆者撮影)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 日本の観光地が徐々に賑わいを取り戻しつつあるが、各地の観光商店街では「どこかで見たことのある店」が増えた。今、全国的に進んでいるのが、チェーン展開する店舗やホテルの増加による“観光商店街の均質化”だ。ポストコロナの観光地は、似たような街並みだらけになりそうな気配だ。

浅草とは何か? 根本的な問いに向き合う

 個性ある観光商店街は日本の重要な観光資源の1つだ。たとえば東京・浅草は浅草寺を中心に1200を超える店舗が日本屈指の観光地を形成している。コロナ禍前は多くの外国人観光客が押し寄せ、活況を呈していた。

 ふと気がつけば、浅草のまちも大きく変化していた。インバウンド需要も後押しし、浅草寺周辺には多くのホテルが建設され、インスタ映えする食べ歩きメニューを提供する店が増えた。その一方で、地元客や常連客に愛された老舗が次々に姿を消した。理由は、コロナや後継者問題だけではない。外部からの資本参入ラッシュにより土地取引が繰り返され、その結果、固定資産税が高騰して払えなくなるという切実な事情もあった。

 商店街の店主たちの間では、「このままでは浅草らしさが失われてしまうのではないか」といった不安の声も少なくない。コロナ禍前の浅草では、アンケート調査などで「浅草とは何か」という根本的な問題を見つめ直す取り組みも始まっていた。