2017年に刑法が改正され、それまでの「強姦罪」が「強制性交等罪」に変わった。強姦罪では「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する」と規定されていたものが、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下『性交等』という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」となった。
厳罰化に加え、肛門性交、口腔性交も処罰の対象となったことにより、男性の被害も対象になった。
「性犯罪に甘い日本」を改めるために刑罰を強化
そして、これは西武ラインオンズの山川穂高内野手について書いたところでも触れたことだが(5月15日付:ライオンズ・山川穂高が認識できていない罪の重さ、そして悲しき能天気ぶり)、強制性交等罪と強制わいせつ罪は、この時に親告罪ではなくなっている。
親告罪とは、被害者による告訴がなければ起訴することができないと定められた犯罪のことで、被害者と示談が成立するなどして、被害者が告訴を取り消せば、起訴されることはなかった。それが親告罪ではないとなると、告訴がなくても捜査当局の判断で起訴できるようになった。
その理由は、被害者の負担の軽減にある。性犯罪の被害者は、肉体的にも精神的にも、大きな被害を受ける。そんな被害者に告訴をするかどうかの選択を迫ることは、さらに精神的な負担を負わせて、苦しめることになる。そこで刑法が改正された。
さらには、性犯罪に関する刑法の改正案が、今年3月に閣議決定されている。「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に、「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に変更し、それまでの「暴行又は脅迫」の要件に加えて、例えば恐怖で身体が硬直して抵抗できないなどの状況を見据えて「同意しない意思」を示すことが困難な状況でも処罰できるようにする。あわせて、性行為への同意を判断できるとする「性交同意年齢」を13歳から16歳に引き上げる。16歳未満(中学生に相当)との性交は、同意の有無にかかわらず違法となる。