一見、誠実な言葉に聞こえるが、驚かされるのは「最年長である私が最初に口を開くべきだ」とする認識だ。このパターナリズム的発想が、被害を広めたことに気づいていない。
すでに海外メディアでも報じられているように、性被害を受けても「これを我慢しないと売れないから」と言われて口を閉ざした被害者がいることからすれば、その実態を知りながら黙らせていた現実がある。年長者が被害の声を上げさせない。そんな家父長主義的な風土があったとするなら(状況からすればあったはずだ)、それを利用していたのがジャニー氏であり、周囲も知っていて黙り、黙らせていたのなら、それに加担していたことになる。
なぜ「ジャニーズ」の名の存続に触れたのか
次に、「そもそもジャニーズという名前を存続させるべきなのか」という見解だ。そもそも藤島社長は、当事者のジャニー氏が故人であって確認できないことを理由に、事実関係については明言していない。それでも「当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません」と曖昧な対応に終始している。それを東山が「ジャニーズ」の名前の存続に踏み込むような事態と受け止めていることに、驚かされる。
東山の発言は総じてジャニー氏の性加害があったことを認めているようにも聞こえる。そうでなければ「ジャニーズ」の存続に言及するはずもない。そこで社長との見解の違いが浮かぶのだが、穿った見方をすると、東山は以前からジャニー氏の行為を知っていたのではないだろうか。
藤島社長は1999年に『週刊文春』がこの問題を報じ、ジャニー氏と事務所が文藝春秋を訴えた裁判でジャニー氏の性的虐待が認定されているにもかかわらず「知らなかった」としている。東山が長年にわたる深刻な実情を知っているからこそ、社名に触れた言葉ではないのか。
過去を知りながら、それで黙っていたのなら罪は重い。ニュースキャスターなら、まずは自身の立ち位置について言及すべきだ。透明性に欠けている。これはこれからこの問題について語る所属タレントにも言えることだ。