プーチンの鼻を明かす奇襲作戦
マーティン氏が気に入っているのが3つ目の選択肢だ。
(3)バフムートを二重包囲する
バフムートでウクライナ軍を包囲している4万人のロシア軍を包囲する「二重包囲」を決行する。第2次世界大戦で旧ソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う5月9日の「戦勝記念日」の戦果として、ロシア軍が攻勢を続ける数少ない前線の一つ、バフムート攻略にこだわるウラジーミル・プーチン露大統領の鼻を明かす最大の奇襲作戦になる。
「プーチンの料理番」ことロシア民間軍事会社ワグネル・グループ創設者エフゲニー・プリゴジンはウクライナ軍の反攻は失敗するより成功する可能性の方が高いとする小論文を発表。そのプリゴジンは5月5日、兵士の死体の間を歩きながら、弾薬が不足しているため10日にバフムートから傭兵部隊を撤退させると語る動画を投稿した。数万人がバフムートで死傷したという。それだけバフムートでロシア軍は苦戦している。
マーティン氏の分析によれば、ウクライナ軍が複数の軸で限定的な攻撃を仕掛け、ロシア軍が反応しなければ戦線を突破し、反応すれば別の軸に移って攻撃を仕掛けると、ザポリージャからアゾフ海に抜ける地域を守るロシア軍が手薄になってくるという。
しかし漏洩した米軍機密文書からは、米国の情報機関が2月時点で、ウクライナ軍が春の反攻作戦のための十分な兵力と武器を集められず、ロシア軍に奪われた領土を奪還するというキーウの目標に「はるかに届かない」恐れがあると警告を発していたことが明らかになっている。
ウクライナ軍の反攻はどのような展開になるのか。