オンラインゲームに潜む脅威

 オンラインゲームも安心できない。青少年がゲームをしていても、対戦相手が子どもとは限らないからだ。実際に、ゲームの中で行われるボイスチャットで闇バイトに勧誘され、逮捕された大学生の例もある。

 ほかにも、性犯罪や薬物犯罪など、様々な危険が潜んでいる。福井県安全環境部県民安全課が公開している「令和2年版青少年のネット非行・被害対策情報」では、「ゲームの親密になりやすい特性」と題し、ネットゲームの危険性に注意を促している。

「ボイスチャットをしながら協力してプレイするなど、ゲーム内で毎日のように共通の体験をすることで、面識のない相手であっても仲間意識を持ちやすく、親密になりやすいという特性があります。特に警戒心の弱い子どもの場合、ゲーム内の相手に個人情報を伝えてしまったり、面識のない人と直接会ってしまうリスクが高くなります。大人が『“知らない人”に会ってはいけません』と伝えても、子どもが『ゲーム内の親しい友達』を“知らない人”と見なさないケースもあります。全国では実際に、オンラインゲームで知り合った相手に女子児童が誘拐された事件や男子児童がわいせつな行為をされた事件、またゲーム内の何者かに中学生が大麻の購入を持ち掛けられた事案など、子どもたちがオンラインゲームを通じて近づいてきた相手に誘い出され、犯罪に巻き込まれたり、巻き込まれそうになったりするケースが多発しています」

オンラインゲームで特殊詐欺に勧誘

 福井県安全環境部県民安全課が心配しているように、見知らぬ相手と親密になった結果、大学生が特殊詐欺に勧誘されたケースがある。

「80代の女性2人からキャッシュカードをだまし取り、現金240万円を引き出したとして、無職の男と私立大学生の男の2人が警視庁に逮捕された。大学生は『オンラインゲームで勧誘された』と供述している」(TBS系JNNニュース 2020年11月25日)。

 この場合、逮捕された2人にどれほどの犯意があったのか定かではないが、実際にオンラインゲーム内で犯罪への勧誘が行われている実例である。仮に悪意なく巻き込まれたならば、被害者の側面が強いけれども、逮捕されたら加害者の立場となる。

 特殊詐欺で逮捕されたら、「執行猶予で保護観察処分」などという生易しいものではすまない。初犯でも実刑を受け、刑務所などの刑事施設に収容される。さらに、銀行口座も持てなくなるなどの社会的制裁が付随するから、若くして「人生ゲームオーバー」となってしまうのだ。