自宅に居ながら犯罪に巻き込まれる時代

 SNSは、我々に利便性をもたらしたが、同時に害悪ももたらしている。昔であれば、自宅から出なければ犯罪や非行に巻き込まれることはなかった。しかし、現代社会では、「家に居ながら」、「自室の中」でも犯罪に巻き込まれる。

 買い物など、スマホで簡単にできてしまうため、若者はスマホ上での契約に慣れている。筆者の年齢になると、契約をするにも「物理的な窓口か電話受け付け」が無いと、なかなか信用しないが、昨今の若者はそうではない。闇バイトの申し込みは、スマホがあれば、ものの5分もあれば完了してしまう。

近い将来、大手求人サイトそっくりの偽求人サイトが出てくる可能性も

 読売新聞の記事によると「高齢者をだます特殊詐欺グループが、大手求人サイトなどに求人広告を出し、現金受け取り役を集めていることが警察庁への取材でわかった。東京、愛知、福岡など7都県警が昨年、求人に応じた男女38人を逮捕した。『闇バイト』を募る違法な求人にあたるとして、警察庁と厚生労働省が対策強化に乗り出す。悪用が確認されたのは、大手求人サイト『インディード』『エンゲージ』と、掲示板サイト『ジモティー』など。『高収入』をうたい、『ハンドキャリー』『回収』のアルバイトなどと称して人材を募っている」という(読売新聞オンライン2023年3月16日)。

 自宅のソファーに寝そべりながらスマホをいじり、知名度のある求人サイトを眺めていたら高額求人が見つかった、これ幸いとそのままスマホでサクサク申し込むと、一生を棒に振ることになってしまいかねない。

 この読売新聞の記事を見て、筆者が危惧したのは、今後、フィッシング詐欺に見られるような「大手求人サイトを模した闇サイト」での違法求人が出てくる可能性だ。巧妙に作り込まれた偽サイトは、素人目には判別しがたい。

 ネット社会の現代では、昨日までは普通だった青少年が、自室から一歩も出ずに闇バイトを通じて、特殊詐欺グループの一員になっている可能性がある。こればかりは、親兄弟はもちろん、お釈迦様でも分からない。

 だが、その契約の先に待っているのは、社会的破滅という深淵へ続く、後戻りできない一方通行の道なのだ。