闇バイト要員は使い捨て

 とりわけ少年が特殊詐欺に巻き込まれるのは、スマホで簡単にアクセス可能な「闇バイト」の存在が大きい。

 本人は、一度きりのバイトで金銭的な困窮や急場をしのぎたいだけと考えているかもしれないが、実際は、闇バイト応募時に顔写真や身分証明書の写真を送るように犯罪組織から要求されるため、一度関与したら抜けられないシステムになっている。

「個人情報をつかめば、こっちのもんだ。俺たちは『もし警察に行ったらお前のところへ行って殺すからな』つって脅した上で、仕事をさせる。そうすれば、途中でヤツらが抜け出したいと思っても、個人情報をつかまれているからビビッて逃げるような真似はしないだろ。真面目で大人しい人間のほうがビビりやすいし、言いなりになりやすい。だからそういう人間の方が合っているんだよ」(FRIDAYデジタル 2022年1月28日)

 では、「闇バイト」に手を染めた少年たちはいつになったら“退職”させてもらえるかというと、これはもう「パクられた(逮捕された)時」だけ、ということになる。このことは、先述した警察庁データ内の特殊詐欺の受け子(現金を受け取る役)の割合79.4%という数字で裏付けられている。彼ら受け子は、しょせん「捨て駒」に過ぎない。

 特殊詐欺の組織グループからみると、彼らは捨て駒でしかないが、犯罪の遂行には欠かせない存在。詐欺グループでは、「UD」と隠語で呼ばれる受け子、出し子(被害者と対面して金銭などを受け取る役や、ATMなどで現金を引き出す役)の順で捕まりやすいため、捨て駒は常に募集中なのだ。