大暴落した孫悟空のフィギュア

 しかし、せどりにつきものなのが価格の暴落だ。儲かりそうな商品を出品すると、マネする人が必ず現れる。

「価格競争になると、1商品1カ月も持たない。たとえば、ドラゴンボールの孫悟空のフィギュアを100ドルで出品しても、ライバルは同じモデルを98ドル、次のライバルは95ドルと値を下げてきて、最終的には利益がまったく出ないところまで落ちる」

 名もなきセドラーが集まる「天下一武道会」の末に、採算度外視で売り飛ばされる孫悟空。この時に値下げを決断できず、大量の在庫が家に溜まっていくセドラーは多い。

 Dさんは師匠の下で半年ほど修業をしたが、自分でせどりを始めることはためらっている。

「ビジネスを自分でやっている感覚は楽しい。でも、価格暴落や在庫処理に追われる割に、利益はそこまで大きくないと思う」

 Dさんと師匠が売ったのは、月30点ほど。師匠の利益は、仕入れや出店料などの経費を差し引くと月5万円程度ではないかという。おじさん2人がタッグを組んで月5万円。なかなか商売は難しい。